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Prologue00
デジタルトランスフォーメーション、通称「DX」とは、企業や組織がデジタル技術を活用して業務のやり方やビジネスモデルそのものを根本的に変革するプロセスを指している。これは単に業務を効率化するためのITツールを導入するだけでなく、顧客との関係の持ち方や企業文化、組織構造まで含めた広範な変革を含んでいる。これによって、企業はより競争力を持ち、成長を続けることができる。
2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を発信したことをきっかけに、DXという言葉が浸透し始めた。
Episode01
当社は2021年4月に自治体プロジェクトDXチームを新たに立ち上げた。このチームの目的は、自治体業務のデジタル化を進めることで、より効率的かつ効果的なシステムを提供すること。その背景には、当時当社のメインパッケージである総合行政システムの標準化推進が行われており、標準化移行後の当社のパッケージシステムのラインナップを増やしていく必要性があった。
チーム発足後、まずは何を開発するのかという話し合いが行われた。ポータルサイトや窓口業務支援システム、地図と住基システムの連携、災害時に避難所で使用する防災アプリなど、メンバー全員でアイディア出しを進めていった。
Episode02
新規開発システムのアイディアは出るものも、どれも今一つ決定打に欠けている。というのも、すでに類似の製品が存在していたり、ニーズが狭く販路拡大が見込めないからだ。そして何より、お客様の利便性向上ではなく、システムを売ること自体が目的になってしまうなど議論は迷走を極めた。そんな中、営業部門からとある自治体が勤怠管理システムに興味を持っていると話が上がる。
地方自治体の勤怠管理は民間企業にはない独自の運用が多い。また世間一般に存在するシステムは多機能だが使わない機能も多く、価格面のハードルが高いことが分かった。早速試作品を作って提案を進めたいが、まだ売れる確証が無い状態で費やせるリソースは限られている。
それでもチームメンバー全員が納得のいくまでシステム構成を考え、魅力が伝わるように資料に落とし込んだ。お客様からは『今の段階でここまで考えてくれているのは驚きました。ありがとうございます。』とお声がけをいただき、結果的にシステム受注の内定に繋がった。
自分たちの熱量が伝わったことや、新規提案が通った喜びを感じながら、DXチームは本格的な開発へと取り掛かる。
Episode03
まずは、要件定義を行った。「勤怠」とは何かを理解するために、勤務時間や給与計算に詳しい自治体プロジェクトの人事給与チーム(人事給与システムを扱うチーム)と連携を図った。さらに、自治体の方々への詳細なヒアリングを重ねた結果、想定より多くの機能追加を検討することになり、2022年2月には自治体での現地デモンストレーションが予定されていたが、それまでに対応すべき作業が山積みとなってしまった。
若手社員中心のチームであったため、当時のチームメンバーにとって一からシステムを開発するのは初めての経験であり、自分たちで決定しなければならないことが多く、大変な苦労を伴った。その中で他社の勤怠管理システムも参考にしながら、必要な機能と不要な機能を慎重に取捨選択していった。
Episode04
2022年2月、無事に自治体での現地デモンストレーションを終えたが、同年4月にはさらなる困難が襲った。発足当初からチームを引っ張ってきてくれたリーダーが別プロジェクトに異動することになり、残されたメンバーで引き続き他自治体への導入展開を進めなくてはならない状況に直面した。この時、発足当初から在籍していた有識者が1名のみとなり、すでに導入済みの自治体・企業からの問い合わせや新しい自治体への導入準備など、有識者への負担が非常に大きくなってしまった。リーダーが異動する前は、相談や問題解決に関する頼りどころがあったものの、異動後は以前ほど気軽に相談できなくなったのも課題であった。幸いにも、7月には増員の予定があり、残されたメンバーでその負担を分散し、チームの結束を強めることができた。
そして、7月には人事給与システムの有識者、他プロジェクトの中堅社員、新人2名の計4名が新たにDXチームに加わり、体制が大きく強化された。これにより、10月に予定されていた他自治体への導入に合わせた追加機能の開発に向けて、新たな体制での奮闘が始まった。
Episode05
こうして様々な問題を乗り越えていく中で、次第に当社ホームページの製品紹介や自治体間での評判を通じて、導入のお問合せが増加した。
「楽(Rac)に記録(REC)できる」という意味から名付けられたRacREC。今後は道内だけではなく道外にも展開を広げて、自治体のDX化にさらなる貢献を果たしていきたいと考えている。
プロジェクトは”生き物”。様々な状況や条件の変化に応じて進化し、成長していくものである。チームの今後の展望としては、若手社員が積極的に開発経験を積める部隊になれるように、再び新しいシステムの開発にも取り掛かっていきたい。常に進化を止めず、さらなるチームの成長を目指している。
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